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20XX/03/27 言葉って何の為にあるの

 
《世界が終わるまで362日》
 
「ん」
 
というと、「ん」と醤油が差し出される。
 
「ん」
 
というと、「ん」と今度はティッシュが差し出される。
 
「カイエダって、俺の心読めるの?」
 
と聞いたら、「読めるか馬鹿」って怒られた。
 
「熟年夫婦みたい」
「男と熟されてたまるか」
「俺かカイエダが女だったら、アダムとイヴやれたかもしんないのにねえ」
「やりたくねぇよ、そんなしんどい役割。どんだけ子供作んねぇといけないんだよ。そもそもアダムとイヴは始まりの世界だろうが。ここは」
「終わる世界?」
「そうだ」
「カイエダ」
「なんだ」
「もう子供生まれないのかな」
 
カイエダは、一度黙った。
その後、黙ったままハマの頭をくしゃりと撫でた。
 
「ん」
 
というと、カイエダは身を乗り出して、ハマの鼻頭に小さくキスしてくれた。
アダムとイヴにはなれないけど、熟年夫婦ぐらいにはなれるんじゃないだろうか。
そんな事をふと考えて、少しだけむず痒い気持ちになった。
 
 

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Published in 世界が終わるまで365日

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