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20XX/04/12 あの頃は若かった

 
《世界が終わるまで346日》
 
初体験は十五の頃、世界が終わるんだと報道が流れる三ヶ月前。
同じクラスの女の子に告白されて、付き合って一ヶ月も経たずに行為に及んだ。
気持ちいいかと問われれば、たぶん気持ちよかった。
射精には至ったし、ゆさゆさと上下に揺れる乳房を見て興奮を覚えたのも確かだ。
だけど、今ではその女の子の顔も思い出せない。
ぼんやりと覚えているのは、カイエダの陰茎を口に咥えて上下に踊る黒髪ぐらいなものだ。
彼女は処女だと言っていたけれども、今思えば男のモノを咥える仕草もその動きも随分と慣れたものだった。
若かったカイエダは、彼女を処女だと疑ってもみなかったけど。
 
今、眼下で揺れる、陽に褪せた短い髪。
わずか苦しげに寄せられた、眉根に刻まれた皺。
閉じられた目蓋は、時折ちらと開かれては、窺うようにカイエダを見上げる。
大きめの口がめいっぱい開かれて、カイエダの陰茎を深く咥え込んでいた。
先端がぐにょと咽喉の奥に当たるのを感じて、カイエダは短く息を呑んだ。
微か痙攣するようにヒクつく咽喉の粘膜の感触に、触れた先端から痺れるような快感が湧き上がってくる。
 
「無理して奥まで咥えなくていい」
 
根本まで陰茎を咥えたまま目を眇めるハマの頭を、そっと撫でてやる。
ハマは何か言いたげに口をもごもごと動かした後、裏筋に舌を這わせたまま、ずるずると陰茎の咥えを浅くした。
カリの部分をぱくっと唇で包んだまま、先端を何度も舌の腹で繰り返し舐める。
ハマの頬の内側から、ぺちゃぺちゃと幼稚で卑猥な音が聞こえた。
深く沈むような快感に息を荒くして背を丸めると、ハマが上目遣いにカイエダを見上げた。
 
「ひもひぃい?」
「あぁ、気持ちいい」
 
問い掛けにそう柔らかく答えると、ハマが嬉しそうに目をきゅっと細めた。
唾液まみれの唇へと指先を滑らせる。
大きく開かれた下唇を親指の腹で撫でると、口元が緩んだのか唾液と先走りが混ざった液体がハマの下顎をだらりと伝った。
液体を潤滑油にするように、ハマの頭がまた密やかに揺れ出す。
まだ喉奥は苦しいのか、半分までしか陰茎を咥えられない。
咥えきれない陰茎を両手で捧げ持つようにして、上下にくちゅくちゅと扱いているのが何とも健気だった。
技巧はなく、ただ従順な奉仕の動作だ。
 
固く浮き上がった裏筋がひくひくと震え出すのを感じる。
先端の鈴口が淡く開閉を繰り返して、精液を吐き出そうとしていた。
 
「ハマ、出る」
 
荒い息混じりに囁くと、ハマは相槌を打つように、んぅう、と小さく咽喉を唸らせた。
鈴口にぐりっと舌先を捻じ込まれる刺激に、下腹部が大きく震える。
 
「ん、んっ…!」
 
一瞬、目の前が真っ白になった。
声を殺して、鼻から大きく息を漏らす。
温かい粘膜に包まれた陰茎が断続的に跳ねて、ハマの咽喉へと熱い液体を吐き出した。
数回に分けて精液を叩き付ける陰茎を、ハマがちゅうちゅうと愛おしげに吸う。
その咽喉が上下に緩やかに動いているのが見えた。
尿道に残った残滓まで吸い取ってから、ようやくハマが陰茎から唇を離す。
硬直を失った陰茎がだらりと垂れ下がるのを見て、ハマは嬉しそうに目を細めた。
 
「飲んだのか?」
 
問い掛けると、ハマはにこりと微笑んだ。
 
「うん」
「美味くねぇだろ」
「美味くないけど、カイエダのだから」
 
随分といたいけなことを言う。
褒めるように頬を撫でると、ハマはまるで猫のように掌に擦り寄ってきた。
 
「俺もやってやろうか」
 
足元にかしずくハマの股間を見る。
そこは明らかに大きく膨らんでいた。
カイエダのものを咥えながら快感を感じていたのか、と思うと、首筋の裏がぞくぞくと震える。
 
「うん、じゃあお願いします」
 
よっこいしょと床に腰を下ろして、ハマが両足を左右に大きく開く。
まるで男を迎え入れるときのような恰好だと思うと、反射的に生唾を飲みそうになった。
ハマがそっと手を伸ばして、カイエダの眼鏡を取り外す。
 
「見えねぇだろうが」
「眼鏡かけたままだと、咥えてるときに当たって痛いんだよ」
 
ハマの拗ねた言い様に、カイエダは不機嫌そうに小さく鼻を鳴らした。
だが、何も言わず、目の前のズボンのベルトへと手をかける。
窮屈そうな下着からガチガチになった陰茎を引き出すと、ハマの下半身がぶるりと小さく波打った。
標準サイズだが、ぷるりと丸みのある亀頭はややピンクがかっていて綺麗な色をしている。
先端から透明な液体を滲ませるそれを掌で緩く扱きながら、カイエダはハマを見詰めた。
 
「ハマ」
「なぁに?」
「お前童貞か?」
 
戯れに問い掛けた言葉に、ハマは一瞬大きく目を開いた。
ハマの頬が微かに赤く染まって、視線が逸らされる。
 
「そういうカイエダはどうなのさ」
「十五の時、同級生と」
「破廉恥だ」
 
言葉遊びのようなやり取りしながらも、硬度を増していく陰茎を弄ることは止めない。
先端の割れ目を親指でぐりっと抉ると、ハマの内腿が跳ねた。
もう片方の手で柔らかな陰嚢を揉み込むと、掌の中で袋がきゅうっと収縮するのが判る。
 
「若かった頃だ」
「いまだって若いだろ」
 
あえやかな息を漏らしながら、ハマが揶揄かうように目を細める。
カイエダの首筋に両腕を回して、ハマはカイエダの身体をぐっと引き寄せた。
引っ張られるままに、仰向けになったハマの上へと圧し掛かる。
 
「若いのに、もう俺としかエロいことできないね。かわいそう」
 
ちっとも可哀想なんて思ってない口調で、そんなことを言う。
満足げな表情で笑うハマを見下ろしながら、カイエダも小さく笑った。
 
「お前も童貞なのに、男と初体験するなんて気の毒にな」
「俺はいいんだよ」
「いいのか」
「うん、いい」
 
カイエダの背へと両腕を回して、ハマは小さく吐息を漏らした。
ほっとしたような溜息の音に、どうしてだか胸が酷く締め付けられる。
 
「かいえだ」
 
甘えるような声に促されるようにして、再び手淫を再開する。
ズボンが邪魔になって、強引にハマの両足から下着ごと引き抜いた。
下半身だけを裸にされても、ハマは文句ひとつ言わず、逆に淫猥に唇を緩める。
 
「カイエダ、一緒にしたい」
 
ハマの手がするりと背中から腰を伝って、再びカイエダの股間へと伸ばされる。
ジッパーを下げられて、半勃ちの陰茎を両手に包まれた。
その手を振り払って、ハマの陰茎に荒く擦り付ける。
途端、ハマが咽喉を反らして、掠れた声を上げた。
 
「あ、ぁッ!」
 
二人の陰茎を重ねて、両手でキツめに握り締めたまま腰を前後に動かす。
浮き上がった裏筋同士が擦れ合う度に、先走りがぬちゅぬちゅと卑猥な音を立てた。
 
「か、ぃえだ! かいえだぁ!」
 
殆ど無我夢中といった様相でハマが叫ぶ。
その声にコメカミに血管が浮かびそうなくらい興奮した。
 
「ハマ、足を抱えろ」
 
そう短く命じると、ハマは素直に従った。
自分自身の膝裏を両手で抱えて、大きく左右に開く。
まるで正常位のような姿勢だと思うと、更に頭に血が上った。
ハマの両足の間で、好き勝手に上下に動く。
カイエダの勢いに押されて、ハマの身体が上へとずり上がっていくのが見えた。
片腕を伸ばして、ハマの肩を押さえて無理矢理ずり下ろす。
その拍子に裏筋がキツく擦れたのか、ハマの両足が宙を強く蹴った。
 
「や、ぁア、イくッ! かいえだ、イくっ…!」
 
訴えかけるように喚くハマの唇を無理矢理塞ぐ。
すぐさま舌先を捻じり込むと、応えるようにハマの舌が絡まってきた。
腰を激しく振ったまま、苦い味のする咥内を滅茶苦茶に荒らす。
上気して赤く染まったハマの顔、その目尻からぽろぽろと涙が溢れている。
ハマの背が大きく反り返るのと同時に、掌の中にビシャッと温かい液体が叩き付けられた。
 
「っ、ヴ、ンぅーッ…!」
 
溢れる悲鳴を、重ねた唇で飲み込む。
痙攣する陰茎にそれでも尚擦り付けていると、ハマが悶えるように首を左右に振った。
外れた唇からハマの悲痛な声が漏れ出る。
 
「やぁ…だッ! い、ってる…! ひッてる、がらぁッ!」
 
最後は殆どがなり上げるようで、呂律が回っていなかった。
射精した直後の陰茎への刺激に、ハマが両足をばたつかせる。
包んでいた陰茎を放して、カイエダはハマの内腿を両手で強引に押さえつけた。
 
「ハマ…」
 
尻を上へと向かせて、狭間の窄まりへと先走りを溢れさせる先端を押し付ける。
そこは伝い落ちた先走りでぐちゃぐちゃに濡れそぼって、僅かにヒクついていた。
カイエダの熱を孕んだ眼差しに見据えられて、ハマが怯えたように唇を戦慄かせる。
濡れた窄まりへと、ぐっと亀頭の先端を押し込む。
その瞬間、柔らかな肉壁が微かに亀頭に絡むのを感じた。
 
「ッは、ぁあッ…!」
 
途端、限界が訪れた。
亀頭を窄まりへと半端に埋め込んだまま射精する。
二回目だというのに勢いは激しく、ぶちゅっと下品な音を立ててハマの体内まで精液が叩き込まれた。
 
「ぁ、あッ…なかっ、に……かいえだ…」
 
体内射精されるのを感じて、ハマが怯えたように腰をくねらせる。
悶える腰を取り押さえて、カイエダは最後の一滴までハマの窄まりへと吐き出した。
痙攣が止まって腰を離すと、先端と窄まりとの間に白い糸が伝った。
ハマの肛門周辺は、カイエダが吐き出したものでどろどろに汚れている。
おそらくはその中も。
 
ハマが自身の股間へと緩く手を伸ばす。
精液まみれになった肛門周辺を指先でなぞると、ハマは一度驚きに目を見張って、それから僅か困ったように眉を下げた。
 
「カイエダの、中に入っちゃったよ…」
「悪い」
 
珍しく罪悪感を滲ませるカイエダに気付いたのか、ハマは打って変わって柔らかな表情を浮かべた。
 
「でも、浅いとこにしか入ってないから大丈夫だと思う」
 
ハマの人差指が白く汚れた窄まりへと潜り込んでいく。
鉤状に曲げられた指が窄まりから精液を掻き出そうとくちゅくちゅと動いているのを見ていると、二度吐き出したというのにまた下腹部で熱が灯りそうになった。
下唇を噛んで声を殺しながら後処理をするハマへと、カイエダは顔を寄せた。
 
「このまま慣らすか?」
「慣らす?」
「俺のが入るように」
 
ハマの指が入ったままの窄まりへと、指先を寄せる。
濡れた縁をなぞるように指を動かすと、中に入ったままのハマの指がピクッと動いた。
ハマは顔をカッと赤くした後、俯くようにして小さく頷いた。
 
「…カイエダが、したいなら、いいよ」
 
従順な言葉を褒めるように、ハマの目蓋へと唇を落とす。
ハマの人差指に添えるように、カイエダは中指を粘膜の中へと挿し込んだ。
指の腹に感じる柔らかな肉の感触に、吐き出す声が震える。
 
「世界が終わるまでに、お前を抱きたい」
 
そう囁くように漏らすと、ハマが小さく笑った。
 
「若いなぁ」
 
たった二歳しか違わないくせに、とは言い返さなかった。
あの頃は若かった、なんて思い返すだけの年月は、きっともう来ない。
意趣返しのように中指を根本まで捻じ込むと、吐息のようなハマの甘やかな声が聞こえた。
 
 

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Published in 世界が終わるまで365日

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