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15 狂ってる *R-18

 
 記憶を探ろうとした瞬間、ずんと身体の奥に衝撃が走った。
 
 
「ぎッ…、ぁアァぁあゥヴあぁあァッ…!!」
 
 
 絶叫を抑えられなかった。みしみしと身体の奥に何か太く熱いものが埋められていく。杭のような物に押し潰されて、体内でぶちゅぶちゅと果肉の弾けるのを感じた。
 
 
「…一番奥まで、入れますから」
 
 
 荒い息混じりのテメレアの声が聞こえる。テメレアの両手が痣になりそうなほど強く、雄一郎の腰骨を掴んでいた。テメレアが腰を進めると、そのぶん腹の奥に杭が突き刺さっていく。
 
 
「…ぃ、いだ…ッ…! でが…いっ…!」
 
 
 叫び声が震える。粘膜の抵抗をねじ伏せて、テメレアが雄一郎の奥へと奥へと突き刺さっていく。まるで太い杭に頭まで串刺しにされているかのような恐怖と痛みだった。
 
 
「痛い、ですか。貴方はあまりシャグリラが利きにくい性質なのかもしれませんね」
 
 
 冷静に分析する言葉に、今は怒鳴り散らすだけの余裕もなかった。かふかふと空呼吸を繰り返しながら、必死で痛みを分散させる。閉じた目蓋の裏が真っ赤に点滅している。赤信号は、止まれの色だ。
 
 両手が助けを求めるようにシーツの上を藻掻く。手の甲にそっと触れるものを感じた。ぼやけた目を開くと、ノアが雄一郎の手を掴んでいるのが見えた。ノアは唇を淡く開いたまま、雄一郎をじっと見つめている。その目は微かに潤んでいる。
 
 
「…泣いてるじゃないか」
 
 
 そう口に出したのはノアの方だった。ノアの掌が雄一郎の頬を撫でる。下顎を伝う感触で、ようやく自分が泣いていることに気づいた。だが、どうして涙が出ているのかは解らなかった。
 
 
「ッぃ、ぁぐッ…!」
 
 
 ぐぶんと音を立てて、体内の奥底までテメレアの杭が埋まる。腹の異物感は凄まじく、まるで腹いっぱいにコールタールを飲まされたような不快感が込み上げてきた。
 
 嘔吐を堪えるように背筋を丸めていると、肩胛骨にテメレアの唇が落とされた。
 
 
「奥まで、ちゃんと呑んでますよ」
 
 
 まるで子供を誉めるような声音に、鼓膜がぢんと痺れる。震える息を吐き出すと、続けてテメレアの声が聞こえた。
 
 
「これから中に、実を擦り込んでいきますから」
 
 
 背骨を上から下へとなぞるように撫でられる。その直後、ずるりと根本まで埋まった杭が先端近くまで引き抜かれた。急激な排泄感に、咽喉からか細い悲鳴が漏れ出る。カリが縁に引っかかるまで抜かれて、果実が破裂するような音を立てて一気に奥まで突き込まれた。
 
 
「ひッ、ぐゥっ!」
 
 
 律動が始まる。中に入っていた果実が押し潰されて、粘膜にぐじゅぐじゅと擦り付けられる。尻にテメレアの腰が打ち付けられる度に、肉同士が鈍い音を立てた。
 
 
「っァ、あ、ぁあヴ、ゃあッ!」
 
 
 腹の中が焼けるように熱い。目の前が涙で掠れて、何も見えない。
 
 前後に好き勝手に揺さぶられていると、頭の奥底でぽつりと疑問が浮かび上がるのを感じた。
 
 自分はいま一体どこにいるのだろうと。何をしているのだろうと。なぜ、どうして――
 
 思考は、激しい抽挿にかき消されていく。ベッドが軋む音と結合部が立てる水音が鼓膜を犯していく。もう両腕に力は入らず、ノアの上に突っ伏すような姿勢になっている。
 
 テメレアが手を伸ばして、背後から雄一郎の性器を掴んでくる。突き上げられながら、荒っぽい動作で前後に扱かれると目の前がチカチカとハレーションを起こした。
 
 
「っひ、ぃ、イく…ッ! イぐ…からァ…ッ…!」
 
 
 雄一郎の金切り声にテメレアが含み笑いを漏らす。だが、その笑い声も荒い息づかいで掠れていた。テメレアも余裕がないらしい。背後から耳朶を噛まれて、咽喉から震えた悲鳴が零れる。
 
 だが、その時、真下から小さな声が聞こえてきた。
 
 
「僕を」
 
 
 涙でぐちゃぐちゃになった目を淡く開く。ぼやけた視界に誰かの顔が滲む。
 
 
「僕を見ろ」
 
 
 小さいが有無を言わせぬ威圧的な声音だった。ノアがまっすぐ雄一郎を見ていた。高い空のような、深い海のような、蒼い瞳。
 
 吸い込まれる、と思った瞬間、下腹部の熱が弾けた。
 
 
「あ、ぁあ、ァあっ!」
 
 
 自分の口から粗相をした子供のような声があがるのが信じられなかった。性器が震えながら、白濁した液体を吐き出す。勢いが抑えられず、精液はノアの頬にまで飛び散った。
 
 雄一郎が達した直ぐ後に、身体の奥深くまで杭が突き刺さった。一番奥に熱い液体がまき散らされる。射精はなかなか終わらず、吐き出しながら精液が粘膜にずりずりと擦り込まれる感触まではっきりと感じた。
 
 
「あ、あー…」
 
 
 絶頂に放心している顔をノアに見られている。ノアの潤んだ目から一筋涙が零れた。なぜ泣くんだ、と問いかけたかった。汚されたのがそんなにも悲しいんだろうか。
 
 だが、それを問い掛けることはできなかった。熟れきった内部からずるりとテメレアが引き抜かれる。そのまま身体を後方へと引っ張られた。テメレアの身体に背を預けるような形で座り込む。
 
 
「中から溢れてきてますよ」
 
 
 まだ口を開いたままの雄一郎の後孔へと指を指し込みながら、テメレアが耳元に呟く。
 
 
「こ、こども…」
 
 
 譫言のように雄一郎が呟くと、テメレアが耳元へと唇を寄せてきた。
 
 
「私との子供ができることはありません。貴方はまだそういう身体ではありませんし、私には子種がないんです。仕え捧げる者は、子を成せない者しか選ばれないんです」
 
 
 悔恨を微かに感じさせるテメレアの声に、今は反応することができなかった。ただ、ぼんやりと爪先を眺めたまま、死にかけの犬のような呼吸を繰り返す。
 
 突然、後孔をゆるゆるとかき回していた指が引き抜かれた。テメレアが雄一郎の肩越しに前方を見つめている。
 
 
「ノア様、貴方はどうしますか?」
 
 
 選択を投げかける声に、雄一郎は視線を持ち上げた。ノアは食い入るように雄一郎を凝視している。その瞳は、やはり涙で濡れていた。
 
 
「こんなの、狂ってるよ」
 
 
 ノアがゆっくりと雄一郎へと近付いてくる。まるで生き倒れた獲物に近付く獣のように、四つん這いで。
 
 
「お前は、おかしい」
 
 
 ノアがテメレアへと言う。
 
 
「あんたも、おかしい」
 
 
 雄一郎へと言う。そして、ノアは啜り泣くような声で呟いた。
 
 
「だけど……一番おかしいのは僕だ」
 
 
 下衣の前をくつろげると、ノアの性器は硬く反り返っていた。それは確かに成人しているだろう大きさがある。血管が太く浮かびあがった性器は、ノアの幼い見た目にそぐわぬ凶暴性を感じさせた。
 
 小便をする赤ん坊のように背後のテメレアに膝を左右に開かされる。ノアの掌が太股の内側へと触れた。性器の先端が白濁にまみれた後孔へと当てられる。
 
 
「僕は、こんなのじゃなかった…」
 
 
 言い訳のように、嘆きのように囁いて、ノアは一息に腰を突き出した。途端、後孔に再び質量が潜り込んでくる。
 
 
「ん、ん、グっ!」
 
 
 先ほどまで散々荒らされていた粘膜は、新たな性器をやすやすと咥え込んだ。奥深くまでずぶずぶと埋まっていく。太いカリが粘膜を限界まで広げていくのが判る。
 
 
「あ、ぅぁ、深…ぃ…」
 
 
 溜息のように言葉を漏らすと、腹の中でノアが一回り大きく膨らんだ気がした。耐えきれないようにノアが直ぐに腰を前後に振り始める。若さを感じさせる、技巧も何もない直線的な突き上げだ。突き上げられる度に、先ほど吐き出された精液が結合部からじゅぶじゅぶと音を立てて溢れ出した。テメレアほどの長さはないが、ノアの性器はカリが大きく張り出しており、動かれると腹の中がゴリゴリと掘削されるような感覚があった。
 
 
「あ、あ、何だよこれ…こんな…きつくて柔らかい…」
 
 
 快楽に溺れていくようなノアの声が聞こえる。乱暴に体内を侵されながら、雄一郎は焦点の合わない目を真上へと向けた。天蓋ベッドの天井には、光る石が飾られているようだった。それがキラキラと輝きを放っている。目を閉じても、目蓋の裏側に微かにその光の残像が残る。チカチカと残像のように残る光は、まるで金星のようだった。
 
 胸を這う手の感触。目を開くと、真上から雄一郎の顔を覗き込んでいたテメレアと視線が合った。
 
 
「ノア様のは気持ちいいですか」
 
 
 冷めた声で問いかけられる。だが、雄一郎の返事を待たずに唇が重ねられた。舌が潜り込んで、根本から絡められる。分泌過多な唾液が咥内でくちゅくちゅと音を立てるのが聞こえた。
 
 
「んッ、んんゥヴ!」
 
 
 唇を塞がれたまま、米粒のように小さな胸の尖りを摘まれる。くりくりと弄られる度に、自分の意志とは無関係に下腹が震えた。後孔がきゅうきゅうと締められるのに、ノアが弱々しい声を上げる。
 
 
「…ッ、そんなキツくしたら、…あ、ぁッ…!」
 
 
 突然甲高い声を上げて、ノアがぐちゅんと根本まで性器を叩き込んでくる。そのまま中で痙攣するのが判った。再び奥深くに熱いものが注がれる。若さ故の勢いなのか、びゅーびゅーと音が聞こえてきそうなほどの激しい射精だった。
 
 
「んんンー!」
 
 
 二度目でも慣れない、身体の内側を汚される感覚に咽喉の奥から振り絞るような声が溢れる。だが、その叫びはすべてテメレアの唇に呑み込まれた。
 
 ノアが最後の一滴まで出し切るように、ゆるゆると抽挿を繰り返す。律動の間も、雄一郎は咥内をテメレアに嬲られ続けた。舌をぺちゃぺちゃと音を立てながら舐めしゃぶられる。上も下も奪われ、汚されているかのような感覚だった。
 
 ノアの律動が止まって、ようやく唇が解放される。銀糸を引きながらテメレアの唇が離れても、雄一郎の呼吸はまだ荒いままだった。
 
 
「ノア様、弄って上げて下さい」
 
 
 テメレアの冷静な声が聞こえる。視線の先には、勃起したまま戦慄く雄一郎の陰茎があった。ノアは一瞬戸惑ったように視線を揺らしたが、予想外にすんなりと雄一郎の陰茎へと掌を伸ばした。
 
 
「まだ、挿れたままでいいか…? ここ、柔らかくて、あったかくて…」
 
 
 まるで母親のご機嫌を伺うような声音を漏らしながら、ノアが雄一郎へと問い掛ける。だが、雄一郎に答えるだけの余力はなかった。肯定も否定もせずにいると、ノアが雄一郎の陰茎を両手で掴んでゆっくりと扱き始めた。先走りでどろどろになった陰茎を扱かれる直接的な快感に、身体がビクリと大きく跳ねる。
 
 
「は、ぁあ…」
 
 
 拙い技巧でも、焦らされ続けた快感がどんどん膨らんでいく。雄一郎の声に調子づいたのか、ノアの手の動きがどんどん激しくなっていく。両手でぐしぐしと擦られて、左右に広げられた両足の踵がシーツに歪な波を作る。
 
 いつの間にか入ったままのノアの杭が再び律動を始めていた。性器を扱きながら、ノアが腰を前後にぐちゅぐちゅと動かしている。
 
 
「あぁ、おかしい、こんなの…こわれてる…」
 
 
 そう泣き言を漏らしながらも、腰の動きは止めないのだから凄まじいものがある。初めて味わう性を髄まで味わおうとしているようだった。後ろと前が同時に犯される感覚に、雄一郎は首を左右に振って悶えた。頭の中がぐちゃぐちゃに攪拌されて、何も考えられなくなる。
 
 テメレアが手を伸ばして、陰茎の先端、鈴口を人差し指でぐりと抉る。その瞬間、再び熱が弾けた。
 
 
「ヒッ、ぅアぁ!」
 
 
 陰茎がぶるぶると震えながら、精液を溢れさせる。今度の射精には勢いがなく、だらだらと竿を伝って延々と精液が漏れ続けた。
 
 続けて、ノアも達したようだった。再び体内に熱がどくどくと注がれていく。ノアの身体が小さく痙攣した後、雄一郎の胸へとどっと圧し掛かってきた。ノアの荒い呼吸音が聞こえる。それとも、それは雄一郎の呼吸音なのかもしれない。
 
 
「これなら…すぐに子を孕めそうですね」
 
 
 テメレアが頭上から囁く。それは祝福の言葉にも呪いの言葉にも聞こえた。唇が曖昧に震える。二人の男が雄一郎の顔をじっと見下ろしていた。
 
 

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Published in 37歳のオッサンが戦場で女神と呼ばれる世界

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