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19 熱の味 *R-18

 
「や、ぁヴぅゥ…!」
 
 
 股間に熱がまとわり付く。ぴちゃぴちゃと水と粘液が混ざり合ったような淫靡な音が鼓膜を犯す。股間に埋められた二つの頭を押し退けようとすると、伸びてきた二本の腕に、両手をシーツの上に縫い付けられた。
 
 
「二郎、暴れんな」
 
 
 勃ち上がった性器と舌先を銀糸で繋いだまま、兄貴が言い含めるように呟く。その間にも、ミツルがぱくぱくと開閉する鈴口に舌先を捻じ込んで、俺の身体を痙攣させる。
 
 
「さんにっ、ん、嫌や…!」
「まだ、そんなこと言うとるんか二郎。ええ加減諦めろや」
「や、って、こんなん…!」
「気持ち悦えやろう?」
 
 
 愉悦を言い当てるようなミツルの声音に、ぐっと奥歯を噛む。あれよあれよと言う間に服を全部引っぺがされて、全身を四つの手に弄繰り回されれば、そりゃ気持ち悦くもなるってもんだ。その間にも、三人は嫌だと何度も訴えたにも関わらず、完全に無視しやがって。それどころか息の合ったコンビネーションで、胸やら腹やらを責め立てた上に、二人揃って性器を舐めるなんて何処の鬼畜だ。不遇に扱われた怒りに、目が吊り上がる。それなのに、兄貴の細い指先で陰嚢を柔らかく揉まれると、いとも簡単に眼球が涙に潤む。咽喉が引き攣った息を吐き出す。途端に、また二つの頭が股間へと埋められて、硬く反り返った性器へと舌を這わせ始めた。性器の上をぬめった粘膜がナメクジのように這い回る。裏筋を下から上へと這い上がるように舐められ、先端の雁部分をぺちゃぺちゃと飴玉のようにしゃぶられると、もう駄目だった。下腹部から渦のような熱が襲ってきて、思考をぐずぐずに溶かしていく。
 
 
「んヴ、…ぁ…っ」
 
 
 無理矢理押し開かれた内太腿がピクピクと小刻みに戦慄いて、自分のものとも思えないような艶かしい声が溢れ出す。それが自分の声だと認識した瞬間、燃えるような羞恥が込み上げてきた。
 
 嫌だ。恥ずかしい。抱かれてもいいと言ったからって、こんな風に二対一の劣勢で、一方的に快楽の淵に叩き落されるなんて酷すぎる。男としての威厳も誇りもあったもんじゃない。それに、俺の性器を舐めしゃぶってるのは、俺の兄弟達なのだ。十八年間付き添ってきた兄や弟が美味そうに俺の性器を貪っているなんて、残酷な光景だ。それ受け容れたのは俺自身だけど、だからってこんな心の準備も身体の準備も出来ていない状態で、好き勝手翻弄されるのは辛すぎる。
 
 
「イヤ、やぁ…」
 
 
 涙に濡れた、惨めったらしい声が零れる。赤ん坊のようにしゃくり上げると、兄貴が顔を上げた。俺をじっと見詰めたまま、優しい声で囁く。
 
 
「二郎、許せ。俺ら我慢の限界なんや。御前のこと喰い尽くさにゃ気が済まん」
 
 
 優しい声音に反して、兄貴の目は獣のように鋭く尖っていた。鈴口をぐりぐりと指先で弄りながら、身体を伸ばして俺の耳元へと兄貴が唇を寄せる。
 
 
「喰わせろ」
 
 
 低く、鈍い、雄の声だった。そのまま耳穴に舌先を突っ込まれて、微かに走る快楽に下腹がぶるりと震えた。途端、性器も連動するように震えたのか、ミツルが先端を咽喉まで呑み込んだまま「ん」と短く声を零す。その掠れた声、眉間に寄せられた皺に、不意に煽られる。心臓を突き破るほどの欲情が湧き上がってきて、全身が総毛だった。性器が膨張して、はしたないぐらい先走りが溢れ出す。濡れた性器の先端に真っ赤な舌先を這わせながら、ミツルが唇を左右に引き裂く。
 
 
「やらしいな、二郎」
 
 
 揶揄かうような声音に、首筋の後ろが粟立つ。羞恥と快楽がない交ぜになって、全身を蕩けさせる。睾丸をそれぞれ片方ずつ揉まれながら、性器をざらりとした二つの舌に我先にとばかりに舐められると、もう堪らなかった。
 
 
「ア゛、ァ…! やァ、も…ぅ…!」
 
 
 甲高い嬌声が咽喉から溢れ出した。股間にどくどくと脈動が集まっていって、目蓋の裏でチカチカと光が瞬く。
 
 
「二郎、イけ」
 
 
 その声がどちらのものかも解らない。目の前が真っ白になるのと一緒に、股間の熱が一気に弾けた。
 
 
「っ……ア゛、…んゥーっ…!」
 
 
 睾丸がきゅうと収縮して、身体がガクガクと痙攣する。尿道を熱い液体が通って、生あたたかく湿った咥内へと吐き出される。内太腿が攣りそうなぐらい伸びきっていた。それでもなお、もっと吐き出せと言わんばかりに陰茎を引き絞るようにしだかれる。その痛みと紙一重の衝撃に、下腹がビクンと跳ねた。
 
 
「ふぁ、ん…、ゃ、苦しっ……!」
 
 
 快楽に息が詰まる。泣きじゃくっても、止めて貰えない。今目の前にいるのは、俺の兄弟だ。だけど、単なる雄でもある。俺は貪り食われる。それを許したのは、他ならぬ俺自身なのだ。
 
 股間から口を放したミツルが唇を引き結んだまま、顔を寄せてくる。そうして、目尻に微かな笑い皺を刻みながら、舌を突き出してきた。その舌腹には、唾液に溶け掛けた白濁の粘液が乗っている。それが自分が先ほど吐き出したものだと気付いた瞬間、脳味噌が羞恥に焼け焦げそうになった。ミツルは俺の目の前で、まるで見せ付けるように咽喉を鳴らしてそれを呑み込んだ。白い咽喉がゆっくりと上下する様は、気が遠くなりそうなぐらいイヤらしい。
 
 
「―――御前の味や」
 
 
 カッと頬が熱くなった。罵声をあげようと開いた唇に、噛み付く勢いで唇が重ねられる。青臭く苦い味がする舌を突っ込まれて、くちゃくちゃと舌先をしゃぶられると、脳味噌の芯が甘く痺れた。そうして、不意にひやりとした感触が股間と尻の間に走る。驚きに、舌を絡められながらも視線を落とすと、兄貴が半透明な液体を、俺の股間の上に垂らしていた。俺の視線に気付いたのか、兄貴が口角を僅かに上げる。
 
 
「ローションやけぇ、安心せえ」
 
 
 そんな事を言われて、安心できるわけがない。くちゃりと音を立てながら、兄貴の指先が窄まりへと伸ばされる。硬く閉じたその部分を指の腹で押されながら、襞の一つ一つを確かめられるように触られるのは、死にそうなぐらい恥ずかしかった。上顎を擽りながら、ミツルの舌がぬるりと引き抜かれる。
 
 
「ふぁ…ア…」
 
 
 まるで甘えるような声が出て、その事に自分自身死にたくなった。穴があるなら今すぐ埋まりたい。ぬるつきを広げられる窄まりに、もう一つ手が伸ばされる。つぷりと穴に指先が埋まった瞬間、両脚が大きく震えた。
 
 
「あ゛ぁ…ぅ…や、ヤだ…」
 
 
 体内に押し込められた異物を取り除こうと、身体に力が入る。じわじわと体内奥深くへと埋められていく指先を、粘膜がぎゅうと締め付けた。
 
 
「二郎、まだ指や。大丈夫やけぇ、楽にしろ」
 
 
 大丈夫という言葉に説得力がない。ヴぅー、と手負いの獣のように呻きながら、奥歯を噛み締める。途端、宥めるようにローションでぬるぬるになった股間を上下に扱かれた。くちゃくちゃという粘着いた水音が鳴って、再び股間から熱が込み上げてくる。イッたばかりの性器の先端がぢんと痺れて、膨れるのを感じた。僅かに緩んだ窄まりに、指が根元まで差し込まれる。体内を探られる感覚に、鳥肌が立つ。
 
 
「ぅア゛…ぁ!」
 
 
 両腕で顔を覆う。すると、邪険にするような仕草で、顔面から腕を引き剥がされた。
 
 
「二郎、隠すな。御前の顔、ちゃんと見せろ」
 
 
 傲慢な命令口調に、眼球が潤む。下唇を噛み締めて睨み付けると、兄貴が微かに嘲るような微笑みを滲ませた。同時に、窄まりに二本目の指が入ってくる。
 
 
「ヴ、ぅー…!」
 
 
 ピリッと引き攣れるような痛みが走る。涙でぼやけた視線を落とすと、兄貴とミツルの手が尻へと伸びているが見えた。ということは、窄まりに入っている二本の指はそれぞれ兄貴とミツルのもので、兄弟の指を一緒に咥え込んでいる事実に、頭に血が上った。
 
 二本の指が中を蕩かすように、ゆっくりと動かされる。かと思えば、突然バラバラに動いて、内部粘膜を思うが侭に掻き回す。鉤状に曲げられた指が腹側を擦るように動いた瞬間、体内で微かな爆発があった。背筋が反り返って、扱かれていた性器がぶるりと跳ねる。
 
 
「ぁ、あーッ!」
 
 
 今まで感じたことのない快楽だった。性器を扱る直接的な快楽とは違う。体内から全身を侵していくような、深く纏わり付く快楽。ふっ、ふーっ、と短く切れ切れな呼吸が咽喉から零れる。あまりの快楽に、緩んだ口角から涎がだらだらと垂れ流れた。
 
 
「ここがええんか、二郎?」
 
 
 揶揄かってくるかと思ったのに、ミツルの声は真剣だった。切迫したように、しきりに唇を舌先で舐めている。腹に突っ込まれた指先が何度もソコを擦り上げる度に、性器からびゅくびゅくと先走りがイッた時のように飛び出す。股間を突き上げるような強烈な快楽に目を硬く閉じて、鼻声混じりの嬌声を上げた。
 
 
「んっ、んぁアっ!」
「二郎、可愛い」
 
 
 予期せぬ言葉が耳を擽る。後孔からぐちゃりと音を立てて指が一本引き抜かれる。粘膜が空気に触れて、ひくりと戦慄いた。兄貴が足元から這い上がって、俺の後ろへと回る。そのまま、俺の上半身を後ろから抱え上げた。下半身をベッドの上に投げ出したまま、上半身は兄貴へと凭れかかる様な格好に、目を瞬かせる。
 
 
「ミツル、挿れろ」
 
 
 ミツルは兄貴の言葉に一瞬目を見張った。それから、値踏みするような眼差しでじろりと睨み付ける。
 
 
「俺が先でええんか?」
「御前と争う気はないんや。俺は二郎が抱けるなら、後でも先でもええ」
「譲り合いの精神のつもりか?」
「つべこべほざくな。御前がヤらんなら、俺がヤる。それが嫌なら、さっさと突っ込め」
 
 
 まるで噛み付き合うような遣り取りだった。暫く兄貴とミツルは無言のまま睨み合った。だけど、結局はいがみ合う事に疲れたかのような溜息を吐いて、ミツルは俺の脚を抱え上げた。女のように股を大きく開かれて、身体が強張る。ミツルが耳朶に息を吹き掛けるようにして囁く。
 
 
「二郎、俺でええんか?」
「…ぁ、なに、がや?」
「俺とヤッて後悔せんか?」
 
 
 ミツルの目がまるで縋り付くように俺を見詰める。その切実な眼差しに一瞬息が詰まって、それから微かな怒りが湧き出してくる。硬めた拳を、ミツルの頭目掛けて振り下ろす。ゴツンと鈍い音が鳴って、拳が微かに痛んだ。
 
 
「っだァ、何すんや二郎!」
「こ、っこまでやっておいて、今更何言うとんやヴォケが! 嫌だったら、最初っから御前も兄貴もボコボコに殴り飛ばしとるわ! こんな死にたくなるようなこと、御前と兄貴以外の誰にもさせるつもりないんやけぇの!」
 
 
 言ってる途中から、顔が熱くなってくる。喚き散らす唇が戦慄く。そりゃ俺だって恥ずかしいし、怖いし、やめるもんならやめたいって気持ちぐらいある。だけど、俺は俺の気持ち以上に、兄貴やミツルの気持ちを優先させたい。それが愛っていうなら、俺は兄貴やミツルを心から愛してるんだろう。愛してるからセックスするんだ。恥ずかしいのも痛いのも、受け容れたいんだ。それなのに、
 
 
「今更、おまえが悩んだりすんなや…」
「二郎」
 
 
 ミツルの淡く開かれた唇から息が零れ出す。それは安堵の溜息にも、充足の吐息にも聞こえた。
 
 

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Published in 凶暴三兄弟

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