Skip to content →

【サンプル2】三男の溜息

 
「気色悪くない。可愛え」
「嘘つけや! ほんまは気色悪い思うとるんやろうが!」
「そんなん思うとらん。二郎、すげぇ可愛え」
 
 
 シーツに唇を押し当てて、熱っぽく囁く。ミツルの欲を感じ取ったのか、シーツのふくらみがピクンと小さく震えた。今すぐシーツを剥ぎ取って襲い掛かってやりたい衝動を抑えながら、二郎の輪郭を辿るように掌をゆるゆると滑らせる。
 
 
「二郎、可愛い。死ぬほど可愛い。なぁ、ちゃんと見せてぇや」
 
 
 聞くだけで罠だと解るような甘ったるい猫撫で声をあげてやる。シーツの中から、首を左右に振ったような振動を感じる。
 
 
「二郎、俺のためにコレ着てくれたんやろぉ? もう怒っとらんけぇ、はよぅお前の可愛えとこ…見たい」
 
 
 根気良く囁き続ける。二郎の身体がシーツの下で小刻みにブルブル震えているのが解る。シーツの端に人差し指を引っ掛けて、軽く引っ張ってみる。抵抗は、なかった。するりとシーツが剥がれて、泣きべそをかいた二郎が出てきた。
 
 涙でしたたかに濡れた頬を見た瞬間、衝動が弾けた。二郎の唇に、文字通り喰らい付いた。ふっくらと柔らかい下唇を、上下の歯で噛み締める。至近距離に二郎の驚きの目があった。見開かれた瞳を見返しながら、歯型のついた下唇を舌でべろりと乱雑に舐める。そのまま、薄く開いた隙間に舌を捻り込んだ。温かい咥内には、生ぬるい唾液が溜まっていた。舌先でぬかるんだ場所を掻き混ぜて、驚きに萎縮した舌を無理矢理絡め取る。
 
 
「んヴぅ…!」
 
 
 鼻がかった呻き声が二郎の咽喉から零れた。その声の振動すらも堪らない。夢中になって、柔らかい粘膜を弄んだ。柔らかい咥内に貼り付いた唾液を、舌でこそげ取って呑み込む。同じように、自分の唾液も二郎の咽喉へと流し込んだ。二郎の咽喉が上下する度に、はらわたが焼け切れるような衝動に駆られた。
 
 お互いの唇の狭間から、くちゃくちゃと何とも淫らで崩れた音が溢れている。唾液の量が尋常ではない。溢れた唾液が二郎の口周りを、産まれたての赤ん坊のように汚している。舌を引き抜いた途端、どろっとした唾液が二郎の口角から大量に零れた。二郎はどこか呆けたような表情で、ミツルを見上げている。だが、その潤んだ目は確かな熱に溶けていた。
 
 ベッドに乗り上げると、二郎の半身を覆っていたシーツをすべて剥ぎ取ってベッドの下へと放る。
 
 ●●●●●姿の二郎。普段だったら、その単語を聞いただけで抱腹絶倒するだろう。だが、今は笑えない。確かな高揚をもって、ミツルは眼下の姿を見詰めている。力なく投げ出された手足に、微かに捲れたスカートの裾から覗き見える筋肉質な太腿、そのスカートの下には女物のショーツ。何て滑稽な、何て卑猥な格好だ。
 
 
「見、…んなァ…」
 
 
 眉間に皺を寄せた二郎が荒い息混じりの声で、必死に虚勢を張ろうとする。まるでゲージの中の子猫が必死でミャーミャー鳴いているかのような憐れさと紙一重の可愛らしさを覚える。熱く火照った掌を、すっと二郎の膝頭へとあてる。そのまま、じっとりと膝頭から内腿までを撫で上げていくと、二郎の太腿が大きく跳ねた。
 
 
「さっ…触んな、や…!」
「したい」
 
 
 熱と共に言葉が咽喉から溢れていた。即物的なミツルの発言に、二郎がぎょっと目を剥く。慌てたようにスカートの裾を両手で押さえながら、二郎はミツルをねめつけた。
 
 
「ヤっ…イヤ、や…」
「したい、二郎」
「イヤ、やって…」
「しとうてたまらん。お前のこと今すぐ犯したい。スカート捲って、ぐちゃぐちゃに舐めて、根元までぶち込んでやりとうて堪らん。ずぽずぽ抜き挿して、お前ん中に溢れるぐらいザーメン吐き出したりたい」
 
 
 率直を通り越して下劣なミツルの台詞に、二郎は赤い頬を更に紅潮させた。眼球を潤ませて、唇をいたいけに震わせる。二郎の口元を汚した唾液を舌先で舐め取れば、二郎は目をぎゅっと閉じて顔を背けた。それは拒絶ではなく、羞恥からだとミツルには解る。耳朶に唇を寄せて、最後の一押しを囁く。
 
 
「二郎…抱きたい」
 
 
 駄目押しの一言で、強張っていた二郎の身体からくたっと力が抜けた。スカートの裾を必死で握り締めていた二郎の指先がそっと解ける。
 
 スカートの裾から掌を潜り込ませると、二郎は泣き出しそうに顔を歪めた。ミツルは、咽喉の奥で小さく笑いを零した。
 
 

< back ┃ top ┃ next >

Published in 凶暴三兄弟

Top